シリアスなアート系映画で頭角を現した彼女だが、その本領はジャンルの壁を軽々と飛び越える柔軟性にある。『翔んで埼玉』で見せた強烈なコメディセンスはその最たる例だ。架空の自治体対立を描く奇想天外な世界観の中、東京都知事の息子という難役を宝塚の男役を思わせる気品とコミカルさで完璧に演じきり、作品を記録的大ヒットへと導いた。
一方で、NHKの連続テレビ小説や大河ドラマといったお茶の間に浸透するナショナルメディアでも異彩を放つ。時代考証を踏まえつつも、現代に通じる女性のしなやかさや強さを静かに醸し出す演技は、幅広い層から絶大な支持を得た。振り切ったエンタメ作品から重厚な歴史劇まで、どの世界線においても作品のトーンに完璧に溶け込む変幻自在ぶりは圧巻というほかない。