くるぶしの腫れは、発生している位置(外側か内側か)と触れたときの感触によって、疑うべき病態が大きく枝分かれします。自覚症状と照らし合わせながら、局所で起きている現象を見極めることが肝要です。
外側の腫れと「ぶよぶよ」の正体|滑液包炎と靴による圧迫
外くるぶし(外果)周辺が丸く腫れ、触ると柔らかくくるぶしがぶよぶよと水がたまるような感触がある場合、最も疑われるのが「外果部滑液包炎(がいかぶかつえきほうえん)」です。長時間の正座やあぐら、硬い革靴・作業靴による物理的摩擦が繰り返されることで、滑液包が炎症を起こして関節液に似た液体(滑液)を過剰に分泌します。
この滑液包炎におけるくるぶしの治し方の基本は、局所の安静と圧迫の完全排除です。初期段階であれば、クッション性の高い靴への変更や座り方の見直しで自然吸収されることもあります。しかし、慢性化して皮膜が肥厚すると、注射器による穿刺吸引(水を抜く処置)やステロイド注射、難治性の場合は滑液包摘出手術が必要になるケースもあります。また、外側のくるぶし下部を押して痛む場合は、過去の捻挫による「前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)不全」や「腓骨筋腱炎(ひこつきんけんえん)」が併発している可能性も考慮しなければなりません。
内側の腫れと激痛|痛風・偽痛風と腱機能不全
一方、くるぶしの内側が腫れて痛風を疑うケースも臨床現場では頻繁に遭遇します。痛風といえば足の親指の付け根が代表的ですが、実際には足関節の内くるぶし周辺(内果)にも尿酸塩結晶が沈着し、激しい発作を引き起こします。血液中の尿酸値が長期間にわたって7.0mg/dL以上の高尿酸血症状態にある場合、ある日突然、関節が激痛とともに赤紫色に腫れ上がります。
また、高齢者の場合は尿酸ではなくピロリン酸カルシウムが沈着する「偽痛風」も内くるぶしに好発します。さらに、中高年の女性に多く見られるのが「後脛骨筋腱機能不全(PTTD)」です。足のアーチを支える内側の腱が変性・断裂することで、扁平足が進行し、内くるぶしの直下に持続的な腫れと鈍痛をもたらします。
「押すと痛い」「赤い・熱を持つ」は危険な感染症の疑いも
くるぶしの腫れを押すと痛い原因が、単なる打撲や疲労ではなく、皮膚の微小な傷から細菌が侵入した「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」や「感染性滑液包炎」であるケースには最大限の警戒を払う必要があります。もしくるぶしの腫れが赤く熱を持つ状態を伴っているなら、決して冷湿布を貼って自宅待機してはなりません。皮下組織で黄色ブドウ球菌などの細菌が急速に増殖しているサインであり、治療が遅れると壊死性筋膜炎や菌血症、全身の敗血症へと進展し、集中治療が必要となる重大な局面を迎えます。