結論から言えば、全国の小中学校で日常的に鯨肉が出されなくなった「決定的な分岐点」は1987年前後である。かつて1950年代から1970年代にかけて、鯨肉は安価で栄養価の高いタンパク源として日本の学校給食を全面的に支えていた。特に文部科学省(当時の文部省)が主導した栄養改善運動において、脱脂粉乳と並ぶ主要メニューとして定着していたのだ。
しかし、1982年に国際捕鯨委員会(IWC)が商業捕鯨の一時停止(モラトリアム)を決定したことで事態は一変する。日本の遠洋捕鯨船団が南極海での商業捕鯨を停止せざるを得なくなった1987年以降、供給量は激減。価格が跳ね上がった結果、自治体や学校の予算枠内で鯨肉を調達することが極めて難しくなり、献立から急速に姿を消すこととなった。