フィギュアスケートのジャンプにおいて、最も身体に負担がかかるのが「着氷(ランディング)」の瞬間です。3回転や4回転ジャンプの着氷時、片足のエッジにかかる衝撃は体重の約5倍〜8倍にも達します。体重50kgの選手であれば、一瞬で250kg〜400kg以上の衝撃を受け止めている計算です。
この凄まじい衝撃を膝や腰だけで受け止めようとすると、靭帯断裂や疲労骨折といった選手生命を脅かす大怪我につながります。ここでクッションの役割を果たすのが、強靭に鍛えられた臀筋と太ももの裏側(ハムストリングス)です。臀部を巧みに使って股関節をクッションのように沈み込ませることで、衝撃を全身に分散させています。
また、練習段階では何十回、何百回と氷上に激しく転倒します。尾てい骨や骨盤への直接的なダメージを防ぐため、日頃の練習では衝撃吸収パッドが内蔵されたクラッシュプルーフタイツを着用するのが一般的です。しかし、最終的に身体を守る最大の防具は、骨を包み込むように発達した自身の筋肉に他なりません。