かつてのように「日本中が同じ流行歌を歌える」という単一の国民的共通体験は、ストリーミングサービスのアルゴリズム化と「推し活」文化の浸透によって構造的に解体されました。各自が自分の好みに最適化されたプレイリストを消費する時代において、全員が100%満足する歌番組を制作することは原理的に不可能です。
このような社会状況において、現代の紅白歌合戦をどのように捉え、楽しむべきなのでしょうか。メディア分析の観点から導き出される結論は明確です。
リアルタイム視聴がおすすめな人
アーティストの熱狂的なファンコミュニティに所属し、Xなどの実況ポストとともに一体感を味わいたい人。また、生放送特有のハプニングやサプライズ演出の瞬間をリアルタイムで共有したい視聴者には、地上波生中継の視聴が最適です。
見逃し配信(NHKプラス)中心の視聴がおすすめな人
年末年始を旅行や初詣、他局の特番で過ごしたい人や、自身の興味があるアーティストのパフォーマンスだけを効率的・高画質に楽しみたいタイパ志向の視聴者。無理に4時間半を拘束されるのではなく、オンデマンドで良質なパートをつまみ食いする視聴スタイルこそが、ストレスのない現代的な付き合い方です。
紅白は「知っている曲を懐かしむ場」から、「未知の優れた音楽と出会い、今の日本のポップカルチャーの縮図を概観する定点観測の場」へとその役割を再定義しています。