東京都杉並区阿佐ヶ谷にひっそりと佇んでいた「むつみ荘」。風呂なし、築年数不明の木造2階建てアパートの201号室こそが、すべての伝説の原点である。春日俊彰はこの小部屋で、ブレイク前の下積み時代から国民的芸人へと駆け上がる激動の年月を過ごした。
冬場は室内に吐く息が白くなり、夏場は猛暑に耐えかねて全裸で過ごす。コインシャワー代すら惜しんで赤ちゃん用のおしりふきで体を拭くスタイルは、節約の域を超えた生き様そのものだった。大手芸能事務所ケイダッシュステージに所属しながらも、どれほど売れても引越しを拒み続けた姿に、人々は不思議な愛着と敬意を抱いたのである。