なぜニュース報道では、法的な正式名称である「被告人」を使わずに「被告」と呼び続けてきたのだろうか。その背景には、長年にわたる報道機関の表記協定や、ニュースの尺・文字数の制約が存在する。視聴者に分かりやすく伝えるための配慮であった側面もあるが、司法関係者からはかねてより疑問の脱却が叫ばれてきた。
裁判を管轄する「最高裁判所」や、日本の法務行政を司る「法務省」が発行する公式文書や判決文において、刑事事件の当事者が「被告」と表記されることは絶対にない。法廷の現場では常に「被告人」という厳格な法律用語が使用される。近年では、メディア側も法律上の正確性と当事者の人権配慮の観点から、報道番組内で「被告人」という正確な用語に切り替える動きが拡大している。ニュースのテロップやナレーションに耳を澄ませると、時代の変化と報道姿勢の変容がはっきりと見て取れるはずだ。