村上隆が提唱した「スーパーフラット」は、日本の伝統絵画における平面性と現代のアニメ・マンガ文化をフラットに接続する概念だ。この理論が最も鮮やかに体現された対象こそ、藤子・F・不二雄が生み出した国民的キャラクターであるドラえもんに他ならない。戦後日本のポピュラーカルチャーが持つ圧倒的な親しみやすさと、西洋美術史に対する批評精神が、一枚の絵の上で完璧な調和を保っている。
藤子・F・不二雄が描くSF(すこし・ふしぎ)の世界観は、無邪気な子供の夢であると同時に、人間社会への深い観察眼に満ちている。村上はこの原画の線一本一本に敬意を払いながら、自身のシグネチャーである色彩感覚を重ね合わせた。二人の天才による時空を超えたダイアローグ(対話)は、単なるキャラクター商品ではなく、現代のアート作品としての揺るぎない強度を獲得している。