手術療法を選んだ場合でも、ギプスや装具で治す保存療法を選んだ場合でも、アキレス腱がカチカチに硬くなりつっぱる現象は同様に起こります。違和感が長引く背景には、生体の修復メカニズムに起因する明確な理由が存在します。
断裂した腱が治る際、断裂端同士をつなぎ合わせるために体が大量のコラーゲン線維を生成します。この補修パテのような役割を果たす組織を「瘢痕組織(はんこんそしき)」と呼びます。できたばかりの瘢痕組織は、元のしなやかな腱組織とは異なり、無秩序で硬く、分厚い塊となっています。この瘢痕組織が周囲の組織と癒着を起こすことで、強い引きつれ感が生じるのです。
さらに、ギプスや装具で数週間にわたり足首を底屈位(つま先を下げた状態)に固定していた影響で、足関節を構成する関節包や靭帯、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)が縮こまって固まる「関節拘縮」も併発します。つまり、「分厚い瘢痕組織」と「関節・筋肉の拘縮」の二重の要因がつっぱり感の正体です。リハビリを通じて負荷をかけ続けることで、コラーゲン線維が運動方向に沿ってきれいに再配列され、本来の柔軟性を取り戻していきます。