手記出版において最も大きな焦点となったのが、印税の扱いと被害者への賠償問題だ。家族の手記によって利益を得ることは倫理的に許されるのかという倫理的問いに対し、母親側は印税を被害者遺族への補償金に充当する意向を示した。
だが、金銭による補償がなされたからといって、遺族の心が癒えるわけではない。命を奪われた子供たちの遺族にとっては、本が話題になること自体が二次被害であり、平穏を乱される要因となった。
加害者家族が負うべき「道義的責任」と「経済的補償」。手記の売上を通じた賠償のあり方は、その後の重大事件における加害者側の対応モデルや議論のひな型となり、社会に深い議論を投げかけた。