薄闇に浮かぶ一本のロウソクから、学生たちの手元にある小さなキャンドルへと受け継がれる親火。この「灯火の儀」のルーツは、クリミア戦争の戦場で夜更けにランプを手に傷病兵を見回ったフローレンス・ナイチンゲールの献身的な姿にある。戴帽式で交わされる儀礼は、近代看護の礎を築いた彼女の精神を受け継ぐ証そのものだった。
式典の最高潮で唱和されるのが「ナイチンゲール誓詞」だ。我が身を清く保ち、職業の威厳を守り、人々の命のために全力を尽くすという宣誓文は、これから医療業界という過酷な現場に飛び込む若者たちにとって、単なる儀礼を超えた重い誓いであった。頭に乗せられる純白のナースキャップは、専門的知識と技術を身につけた看護職の誇りであり、患者からの信頼の証でもあったのだ。