本堂の舞台がせり出す錦雲渓(きんうんけい)と呼ばれる谷筋には、およそ1,500本のヤマザクラやソメイヨシノ、そして約1,000本ものイロハモミジやヤマモミジが群生しています。足元から湧き上がるように広がる樹海の色彩変化は、季節ごとにまったく異なるパノラマを描き出します。
春の桜シーズンは、舞台から見下ろすと足元一面が桜の花びらで埋め尽くされ、まるで空中散歩をしているかのような浮遊感を味わえます。一方、秋の紅葉シーズンは、錦雲渓の谷底から本堂の懸造り(かけづくり)の柱を包み込むように朱色のグラデーションが広がり、夕暮れの斜光が差し込むと木々が黄金色に輝きます。
旅慣れた参拝者から特に高い支持を集めているのが、5月から6月にかけての青もみじです。葉の重なりが生み出す爽やかな緑のグラデーションは清涼感に満ちており、桜や紅葉のピーク時に比べて拝観客の数が一段落するため、自分のペースで景色と対峙できる利点があります。