本作のエンドロールを改めて見返した視聴者の多くが驚きの声を上げるのが、猫の国の王子・ルーン役を務めた山田孝之の存在です。トラックに轢かれそうになったところをハルにラクロスラケットで助けられ、物語の発端となる重要キャラクターを演じました。
公開当時の2002年、山田孝之はNHK連続テレビ小説『ちゅらさん』(2001年)で主人公の弟役を好演して脚光を浴び、社会現象となったドラマ『WATER BOYS』(2003年)で主演を務める直前のブレイク前夜でした。スタジオジブリの制作関係者の証言によると、ルーン王子に求められたのは「礼儀正しさと高貴さ、そして若者らしい純粋な誠実さ」であり、当時18歳前後の山田が見せた透明感あふれる声質が完璧に合致したとされています。
後年の映画『クローズZERO』やドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズ、Netflix『全裸監督』などで見せる重厚かつ変幻自在な怪演を知る現在のファンにとっては、本作における爽やかでノーブルなプリンスボイスは極めて貴重な初期の名演として再評価されています。
また、ルーン王子の恋人である白猫・ユキを演じた前田亜季も、映画『バトル・ロワイアル』(2000年)などで高い評価を得ていたトップティーン女優でした。さらに、猫王の使者・ナトル役の濱田マリは持ち前の個性的な声色を遺憾なく発揮し、ハルを強引に猫の国へと誘うコミカルかつ不気味なキャラクターを見事に成立させています。