豊田商事会長刺殺事件の真相と闇|カメラ前で起きた凶行の全貌

豊田商事会長刺殺事件の真相と闇|カメラ前で起きた凶行の全貌

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凶刃に倒れた永野一男とはどのような人物だったのか。その生い立ちと詐欺の手口を振り返ると、高度経済成長期からバブル前夜にかけての日本の歪みが浮き彫りになります。

島根県の農家に生まれた永野は、中学卒業後に集団就職で上京し、自衛隊員や商品先物取引会社の外務員などを転々としました。先物取引の現場で培った強引な営業トークと心理誘導のノウハウを元に、1981年に設立したのが豊田商事でした。同社は「世界のトヨタ」を連想させる社名や豪華なパンフレット、テレビCMを多用し、消費者に一流企業であるかのような錯覚を植え付けました。

豊田商事が用いた手口は、いわゆるペーパー商法(現物まがい商法)と呼ばれる極めて悪質なものでした。顧客に金(ゴールド)の地金を購入させながら、「現物を手元に置くのは盗難のリスクがあり危険。当社が責任を持ってお預かりし、純金ファミリー契約証券をお渡しして毎年高い利息を支払う」と持ちかける仕組みです。実際には会社側に金地金の裏付けはほとんど存在せず、新規顧客から集めた資金を既存顧客の利息支払いや派手な広告宣伝、幹部の豪遊に充てるポンジ・スキームでした。

ターゲットとなったのは、孤独な独居高齢者でした。営業マンが連日自宅に通い詰め、肩を揉み、身の回りの世話をして「本当の息子・娘のように親身になる」ことで情に訴え、老後の蓄えや退職金を根こそぎ巻き上げたのです。

佐藤 大輔
著者

佐藤 大輔

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