シネコン激戦区・多摩で見つけた「映画の深呼吸」——2026年、キノシネマ立川が熱狂的なファンを惹きつける理由

シネコン激戦区・多摩で見つけた「映画の深呼吸」——2026年、キノシネマ立川が熱狂的なファンを惹きつける理由

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キノシネマ立川の最大の魅力は、都市型シネコンの利便性と、往年の名画座や単館系ミニシアターが持っていた親密な空気感の見事な融合にある。全3スクリーン、総座席数約400席弱という規模感は、決して小さすぎず、かといって観客を置き去りにするような巨大さもない。絶妙なヒューマンスケールが保たれている。

館内は徹底してノイズレスだ。上映前のロビーで文芸誌を開くシニア層、仕事帰りに駆け込んで静かにコーヒーを啜る会社員、あるいはインディペンデント映画に目を輝かせる美大生。それぞれが思い思いの孤独を携えて集まり、同じスクリーンの光を見つめる。買い物のついでにふらりと立ち寄れる百貨店直結の立地でありながら、日常の重力から軽やかに解き放たれるエアポケットのような役割を果たしている。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。