コース全体の設計を手がけた名匠の意図を紐解くと、小名浜の18ホールは単なるリゾートレイアウトではなく、自然の地形を巧みに活かした高い戦略性を帯びていることが分かります。なかでも象徴的なのが16番パー3(レギュラーティーで約140〜150ヤード前後)です。
このホールの難易度を跳ね上げている主因は、距離そのものではなく「海風(潮風)のベクトル変化」と「視覚的な錯覚」にあります。断崖から吹き上げる風はティーグラウンド上とグリーン上空で向きや強さが異なるケースが多く、アゲンスト(向かい風)時には2番手以上のクラブアップが求められます。しかし、奥にオーバーすれば崖下へのOBやアプローチ難度の高いブッシュが待ち受けており、多くのプレーヤーが恐怖心からスイングを崩して手前の海へ打ち込んでしまう心理トラップが仕掛けられています。
現場を知るプロやシングルハンディキャップ保持者の証言によると、攻略の鉄則は「ピンポジションに惑わされず、グリーンの安全なセンターまたは風上サイドを徹底して狙うマネジメント」に集約されます。勇気を持ってパーオン狙いからボギーオン計算へ切り替えるメンタルの柔軟性こそが、この名物ホールで大叩きを避ける唯一の防壁となります。