日常生活で広く使われる「路肩(ろかた)」という言葉ですが、道路交通法を開いてもその明確な定義文は見当たりません。なぜなら、路肩は交通ルールを定める道路交通法ではなく、道路を作る技術的基準を定めた「道路構造令」第8条に規定されている構造上の用語だからです。
道路構造令における路肩の定義は、「道路の主要構造部を保護し、または車道の効用を保つために、車道や歩道に接続して設けられる帯状の道路の部分」とされています。つまり、路盤の崩壊を防ぎ、視線誘導を行ったり、故障車が一時的に退避できる余地を確保したりするための「道路の保護空間」が路肩の正体です。
道路構造令が定める路肩の幅員と設置基準は、道路の区分や規格によって細かく設計されています。一般道路の車道左側に設けられる路肩は原則として0.5メートル〜1.25メートル以上、高速自動車国道などの高規格幹線道路では大型車の退避を考慮して原則2.5メートル以上の幅員を確保することが義務付けられています。
ここで重要なのが、歩道と路肩の境界区分です。歩道が整備されている道路では、歩道と車道の間、あるいは車道の白線の外側に存在する余白部分が「路肩」となります。この路肩はあくまで車道の構造を支える余白であり、車両が日常的に走行するための「車線(車両通行帯)」ではありません。