ネット上の検索や一部の書き込みにおいて、「戸塚祥太は人気や実力があるのに、なぜ民放GP帯(ゴールデン・プライム帯)の連続ドラマ主演が少ないのか?」という疑問が呈されることがあります。しかし、これは彼のキャリア戦略の全体像を見落とした大きな誤解です。
戸塚の俳優活動の本拠地は、極めて高い演技力と集中力が求められる「本格ストレートプレイ(舞台演劇)」にあります。手塚治虫原作の重厚な人間ドラマ『奇子』での主演をはじめ、『阿呆浪士』『Defiled-ディファイルド-』『今度は愛妻家』『緑に満ちる夜は死んでいく』など、演劇界屈指の実力派キャストや名演出家たちと肩を並べ、年間を通じて劇場空間の最前線に立ち続けてきました。
文筆家としても知られ、自著『ジョーダンバットが鳴っている』などで深い思考を紡ぐ戸塚は、脚本の持つ文学性やテーマ性を徹底的に読み込むタイプの役者です。大量消費される刹那的な露出よりも、作品の質と人間の内面描写に深くコミットできる演劇や、エッジの効いた深夜ドラマ・配信ドラマを厳選して挑戦してきた軌跡がうかがえます。つまり、テレビ露出の多寡だけで役者価値を測ることはできず、舞台で培われた重厚なバックボーンがあるからこそ、いざ映像作品に出演した際に強烈な存在感を放つのです。