一般のスーパーで「赤魚」として販売されている切り身の多くは、主に北太平洋の深海に生息するアラスカメヌケ(またはタイセイヨウアカウオ)と呼ばれるカサゴ目フサカサゴ科の魚です。鮮やかな赤色の皮と引き締まった白身が特徴で、遠洋漁業で漁獲後すぐに船内凍結されるため、鮮度を保ったまま安定した低価格で流通しています。
しかし、アラスカメヌケなどの赤魚は深海魚特有の筋肉構造を持ち、水分含有量が比較的多いため、加熱しすぎると筋繊維が急激に収縮して水分が抜け、パサつきや身の縮みを引き起こしやすい弱点があります。さらに、皮と身の間に含まれる不飽和脂肪酸が冷凍保管中に微弱酸化し、解凍時に独特の臭気(冷凍やけ臭・生臭さ)として表面化しやすい性質を持っています。
つまり、赤魚の煮付けで失敗を防ぐカギは、「表面の酸化皮膜を短時間で洗い流す下処理」と「身の水分を閉じ込めながら急速に味を含ませる火入れ」の2点に集約されます。