液体窒素を照射・塗布されたイボ組織は、その後数日から2週間程度かけて劇的な変化を遂げます。正常な治癒プロセスを知らないと「悪化したのではないか」とパニックに陥りやすいため、標準的な生体反応のサイクルを正確に把握しておく必要があります。
処置から翌日〜3日目にかけて、凍結によって表皮と真皮の間に組織液が溜まり、水ぶくれ(水疱)や、内出血を伴う黒赤色の「血豆(血疱)」が形成されます。これは皮膚の深い層まで冷気が到達し、イボウイルス(ヒトパピローマウイルス:HPV)が感染した組織を底から押し上げている証拠であり、治療が奏効しているサインです。
水ぶくれや血豆は、1〜2週間が経過すると内部の浸出液が吸収され、硬く黒いかさぶた(痂皮)へと変化します。このかさぶたが自然にポロリと脱落する際、ウイルスに侵されていた病変組織が一塊となって剥がれ落ちます。無理に指や爪切りで剥がすと、未成熟な皮膚から再出血してウイルスが周囲へ散布されるリスクがあるため、自然脱落を待つ姿勢が不可欠です。
なお、かさぶたが取れた後に赤みや茶色い色素沈着が残ることがありますが、これは「炎症後色素沈着」と呼ばれる生理現象です。紫外線対策や保湿を行えば数ヶ月〜半年程度で徐々に薄れていきますが、過度な凍結刺激を与えすぎると瘢痕(傷跡)として残る場合もあるため、施術医の適切な出力コントロールが求められます。