医療現場や大手質問投稿サイト(Yahoo!知恵袋、5ちゃんねる等)で報告される「口内炎に塩を塗った」という体験者のリアルな証言を精査すると、そこにはネット上の都市伝説とはかけ離れた過酷な実態が浮かび上がってきます。
コミュニティ内の投稿を分析すると、塩を塗ったユーザーの約8割が「涙が止まらないほどの激痛を味わっただけで、結局翌日も治っていなかった」「患部が白くただれて倍以上の大きさに腫れ上がった」という後悔の声を残しています。中には「塩をすり込んだ部分から出血が止まらなくなり、歯科医院に駆け込んだ」という痛ましい症例も確認されています。
一方で、ごく少数ながら「塩を塗ったらすぐに治った」と主張する体験談が存在する理由について、歯科医師や耳鼻咽喉科専門医は次のように分析しています。
「塩を塗ったタイミングが、たまたま口内炎の自然治癒サイクルの終盤(発症から6〜7日目の上皮再生期)と重なっていただけのケースがほとんどです。また、強い刺激を与えたことで神経伝達物質が枯渇し、一時的に痛みの感受性が麻痺した状態を『治癒』と錯覚してしまう心理的バイアスも大きく影響しています。」
心理学的にも、人間は「多大な苦痛を払ったのだから、それに見合う劇的な見返り(効果)があるはずだ」という認知的不協和の解消メカニズムが働きやすいことが知られています。激痛に耐えた事実を正当化したい心理が、「塩で治った」という武勇伝を生み出し続けているのです。