レンズ交換式カメラを用いて息をのむような高解像度の月を撮影する場合、フルオートや夜景プリセットは厳禁です。露出モードを「M(マニュアル)」に固定し、撮影者が完全に各パラメータを掌握する必要があります。多くのプロフォトグラファーが支持する一眼レフ月撮影設定の基本原則は以下の構成です。
第一に、月撮影シャッタースピードの選定です。一見すると静止しているように思える月ですが、地球の自転速度(赤道付近で時速約1,700km)と月の公転により、望遠レンズで拡大したファインダー内では猛烈なスピードで移動しています。露出時間が1/30秒や1/15秒といったスローシャッターになると、被写体ブレ(動体ブレ)が確実に発生します。そのため、安全域として「1/125秒〜1/500秒」の高速シャッターを確保することが必須条件となります。
第二に、絞り値(F値)は開放ではなく「F8〜F11」まで絞り込みます。現代の高性能レンズであっても、絞り開放付近では周辺減光や収差が生じやすいため、光学性能が最もピークを迎える2段〜3段絞った領域を使うのが鉄則です。そしてISO感度月夜景設定については、ノイズを極小化するために「ISO 100」から「ISO 200」の低感度で固定します。光量が十分にある被写体であるため、高感度に頼る理由はどこにもありません。
最後に、ピント合わせはオートフォーカスを捨て、背面モニターを最大倍率までデジタル拡大した状態での月撮影マニュアルフォーカスを行います。レンズの距離環にある「無限遠(∞)マーク」に合わせるだけでは、温度変化による鏡筒の膨張・収縮によってピントが僅かにズレる構造になっています。輪郭のエッジが最もシャープに立ち上がる位置をミリ単位で追い込み、シャッターを切る際はミラーショックや指の圧力を遮断するため、三脚固定ブレ防止策として2秒セルフタイマーや電子先幕シャッター、ワイヤレスレリーズを併用するのが決定打となります。