ひろめ市場の門をくぐった初心者が最初に圧倒されるのが、約500席以上あるテーブル席の過密ぶりです。ここで最も重要な基本原則は、「料理を買いに行く前に、何よりも先に座席を確保する」という一点に尽きます。両手にカツオのたたきや生ビールを持ったまま、延々と空席を探して通路をさまよう姿は、場内で最も避けたい典型的な失敗パターンです。
座席を確保する際、テーブルに私物だけを置いて無人で離れる行為は厳禁です。混雑時は盗難のリスクがあるだけでなく、周囲とのトラブルを招きます。グループであれば最低でも1名が必ず席に残ること、単独行動の場合はスタッフや隣席の利用者に一声かけてから素早く動くのが現場の不文律となっています。
もう一つの核心が「相席の作法」です。ひろめ市場において、4人掛けや6人掛けのテーブルを少人数で占有することは基本的にできません。空いているスペースを見つけたら、先客に対して「ここ、空いていますか?」「相席よろしいでしょうか?」と必ず笑顔で一声かけるのがスマートな流儀です。土佐には「おきゃく(酒宴)」という見知らぬ人同士でも杯を交わす文化が根付いており、礼儀正しい声かけひとつで、隣り合った地元客から絶品裏メニューの情報を教えてもらえるような温かい交流へと発展します。
また、ネット上で誤解の多い「ひろめ市場持ち込みルール真相」についても明確な線引きがあります。基本的に、市場外のコンビニや飲食店から持ち込んだ飲食物を場内で広げる行為は固く禁止されています。ただし、ひろめ市場内の店舗で購入したものであれば、どのエリアのテーブルに持ち寄って食べても全く問題ありません。中華、鮮魚、揚げ物、スイーツといった異なる店舗の料理をひとつのテーブルに集約できる点こそが、この市場最大の醍醐味です。
飲食を終えた後の食器処理にも独自のシステムが確立されています。場内には緑や青のポロシャツを着た専門の「片付けスタッフ」が常に巡回しており、空いた皿やグラスはテーブルの上にまとめたまま退席して構いません。ただし、ゴミ箱に捨てられる紙屑やお手拭きなどは各自で回収ボックスへ運ぶのが、快適な共有スペースを維持するための最低限のマナーです。