SNSやネット掲示板、口コミサイトを検索すると、湯田温泉に対して「歓楽街の飲み屋ばかりで温泉街の風情がない」「近代ビルばかりでガッカリした」といった批判的なコメントが散見され、旅行系コミュニティで小さな物議を醸すことがあります。こうした噂やネガティブな評価が生まれる背景には、湯田温泉の持つ地理的・歴史的レイアウトの二面性があります。
現場を歩けば一目瞭然ですが、湯田温泉は山あいの渓谷にある隠れ里型温泉ではなく、山口市の平野部に発展した「都市型温泉地」です。昭和中期には山口県内最大の歓楽街として栄えたため、現在でも居酒屋やスナック、ナイトレジャーがひしめくエリアと、静寂を保つ高級和風旅館が同じブロックに混在しています。川のせせらぎや木造数寄屋造りの街並みといった「典型的な鄙びた温泉情緒」を過度に期待して訪れた旅行者が、そのギャップからネット上に不満を投稿し、それが拡散されたというのが「風情がない」という噂の真相です。
地元観光関係者の証言によると、近年はこの雑多なエネルギーを「夜の飲食街を浴衣でハシゴできる独自の魅力」として再定義する動きが強まっています。地場産の新鮮な魚介や名物・瓦そば、山口の誇る銘酒「獺祭」や「東洋美人」を提供する小料理屋が深夜まで営業しており、旅館内ですべてを完結させない「泊食分離」を好む若い世代からは、むしろポジティブに受け止められ始めています。