「そもそも神奈川の水がめ どこに集中しているのか」という疑問に対し、正確な地理と水利構造を把握している人は意外に多くありません。神奈川県の水供給は、東京都のように利根川水系へ全面的に依存している構造とは異なり、県内および近隣山岳を水源とする相模川水系と酒匂川水系の2大水系が需要の9割以上を担っています。
相模川水系の上流には、戦前・戦後に建設された相模ダム(相模湖)と城山ダム(津久井湖)、そして平成期に完成した巨大な宮ヶ瀬ダムが鎮座します。一方、西部の酒匂川水系を支えているのが丹沢湖を抱える三保ダムです。この2水系に点在するダム群がパイプラインや導水路でネットワーク化されており、丹沢山地や富士山麓から注ぎ込む清らかな雪解け水や雨水を効率的に受け止めています。
相模原市、横浜市、川崎市といった大消費地はもちろん、湘南・三浦半島に至るまで、この水系網が網の目のように上水を供給しています。水系が2つに分散されていることは、局地的な豪雨や渇水に対する自然のバッファとして機能しており、特定水域の雨量低下が即座に全県規模の給水停止に繋がらないレジリエンス(強靭性)を担保しています。