タイパ、効率化、アルゴリズムによる最適化。現代人の日常は、無駄を削ぎ落とすことで成り立っている。しかし、その反動だろうか。若者たちの間で「あえて不便を楽しむ」ムーブメントが急速に広がっている。ボタンを押してもすぐに応答しない古いゲーム機や、小銭を握りしめてどれを買うか迷う駄菓子選び。ここには、デジタル空間が失ってしまった「手触り感」がある。
SNSのタイムラインを飾る「映え」の定義も変わってきた。完璧に整えられたカフェの写真よりも、昭和の生活感が漂うお茶の間のセットや、少し色褪せた看板の前で撮る写真の方が「エモい」と評される。効率化に疲れた脳を休めるためのシェルターとして、このレトロな商店街が機能しているのだ。