検索エンジンで「坂本龍一 妻 現在」と調べる読者が最も知りたい核心は、「法律上の妻はいたのか」「晩年に寄り添っていたのは誰なのか」という点に集約されます。結論から言えば、坂本さんが2026年3月に逝去した時点で法律上の婚姻関係にあった配偶者はおらず、事実上の妻として人生を共にしていたのがクリエイティブディレクターの空里香(そらのりか)さんでした。
坂本さんとシンガーソングライター・矢野顕子さんの結婚は、1980年代から1990年代の日本のカルチャーシーンを象徴するビッグカップルとして広く知られていました。しかし、1992年に坂本さんが拠点を構えたニューヨークで空里香さんとの関係が深まり、同年に男児が誕生したことを機に、矢野さんとは実質的な別居状態へと突入します。そこから2006年8月に正式な離婚届が提出されるまで、実に約14年間もの別居期間が続きました。
当時、一部メディアでは「泥沼の愛憎劇」「不倫略奪」といった扇情的な見出しが躍りましたが、実際の関係性は単純な破綻劇とは異なっていました。坂本さんの自伝『音楽は自由にする』(河出書房新社)や、逝去後に刊行された『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』(新潮社)において、坂本さんは矢野顕子さんへの比類なき音楽的敬意を終生失っていなかったことを明かしています。矢野さんもまた、離婚発表時に「音楽家として尊敬し合える関係は変わらない」と声明を出し、坂本さんの訃報に際しても盟友としての深い哀悼を捧げました。形式的な婚姻関係の枠組みを超え、互いの創造性を侵食しない距離感を選び取った結果が、あの長い別居と円満な決別だったと言えます。