デジタル社会における人間関係のトラブルを数多く取材してきた専門家の視点から、LINE IDという識別子の本質的なリスクと付き合い方について提言します。
心理学や家族社会学では、自己と他者の間に健全な距離感を保つ「心理的バウンダリー(境界線)」の重要性が説かれます。これはオンラインのコミュニケーション空間においても全く同じです。いつでも手軽に連絡が取れるLINEは、距離を縮める強力なツールであると同時に、境界線を不用意に曖昧にしてしまう危険性を孕んでいます。
LINE IDは、一度相手に伝えてしまえば相手のアドレス帳やメモに永久に残り続けます。ブロック機能を使ったとしても、相手の端末上にIDの記録が残っていれば、別のアカウントなどから間接的に検索される懸念を完全に排除することはできません。
【IDを教えても良い相手・避けるべき相手の判断基準】
- 教えても良い対象:実生活で素性が分かっている友人、信頼できる親族、長期的な連絡が必要な同僚など。
- 慎重になるべき対象:SNS(XやInstagram等)で知り合ったばかりの相手、一度きりの取引相手、マッチングアプリの初面談前の相手など。
一時的な繋がりやネット上の知人に対しては、いつでも無効化できる「マイQRコード」の共有に留めるか、他のSNSのダイレクトメッセージ機能を活用するのが鉄則です。利便性に流されず、自分のプライバシー領域を自分でコントロールする意識を持つことが、トラブルに巻き込まれない最大の防壁となります。