西島秀俊のキャリアにおいて、髭が決定的な役割を果たした代表作として外せないのが、米アカデミー賞国際長編映画賞を受賞した映画『ドライブ・マイ・カー』です。彼が演じた舞台演出家・家福悠介は、最愛の妻を突然失い、深い喪失感を抱えながら生きる男。顎と口元に控えめに蓄えられた整った髭は、知性と理性を保ちながらも、心の内側に癒えない傷を抱える男の「静かな疲弊と孤独」を見事に体現していました。
一方で、強烈な野性と肉体性を前面に押し出したのが、配信ドラマ『仮面ライダーBLACK SUN』の南光太郎役です。過酷な運命に翻弄され、社会の底辺で生きてきた男の生き様を表現するため、無造作に伸ばされた無頼な髭と鍛え上げられた肉体を披露。従来の特撮ヒーロー像を覆すダークで重厚なビジュアルは、公開当時から「渋すぎて痺れる」「西島秀俊の真骨頂」と絶賛を浴びました。
さらに、海外共演作やサスペンス映画の現場でも、監督からの細かな要求に応える形でミリ単位の髭の長さや濃淡を調整。役の年齢設定や精神状態に合わせてビジュアルをゼロから構築する職人肌の姿勢が、国内外の映画関係者から絶大な信頼を集める根拠となっています。