ネットの切り抜き画像やコラージュだけを見ていると、「京極万太郎は接待の場で平気で料理をけなす横暴な老人」という誤解を抱かれがちです。しかし、原作を通読すると、京極さんは作中屈指の人格者であり、情に厚い好人物であることがよく分かります。
京極さんが初対面で厳しく当たったのは、当時の東京の高級料亭が「京都産」「生きたまま輸送」というブランドや体裁にあぐらをかき、食材の本質的な鮮度や味の劣化に無頓着だったからです。本物を知る人間だからこそ、誤魔化しを許せなかったに過ぎません。
さらに、山岡士郎の力量と誠実さを認めた後は、東西新聞の最大の理解者となり、山岡と対立する実父・海原雄山との間を取り持つ重要な仲介役としても活躍します。美味しんぼ全111巻を通しても、京極さんは山岡にとっても読者にとっても最も頼れる「理想の大人」の一人として描かれています。