SNSやネット掲示板では「外国人は窓口に行けば審査なしで生活保護がもらえる」「日本人が断られる一方で外国人が優遇されている」といった言説が頻繁に拡散されています。しかし、福祉事務所の実際の行政手続きや現場の運用を調査すると、実態は大きく異なります。
まず、すべての外国人が申請できるわけではありません。昭和29年通知および厚生労働省の運用要領に基づき、保護の対象となるのは以下の活動制限のない在留資格を持つ外国人に限られています。
- 永住者および特別永住者
- 定住者(難民認定を受けた者、日系人など)
- 日本人の配偶者等、または永住者の配偶者等
したがって、「就労ビザ(技術・人文知識・国際業務や特定技能など)」で就業している外国人や、「留学ビザ」の学生、技能実習生、短期滞在の観光客は原則として準用措置の対象外です。職を失ったり生活費が枯渇したりした場合でも生活保護を受給することはできず、原則として自力での生活維持または本国への帰国が求められます。
さらに、受給要件の審査プロセスは日本人以上に過酷なハードルが存在します。預貯金や不動産などの資産調査、就労能力の判定はもちろんのこと、本国の親族からの扶養可否、さらには本国に換金可能な資産を保有していないかどうかの確認が行われます。現場の福祉事務所職員へのヒアリングによると、「書類の収集や母国との照会手続きに多大な労力を要し、日本人申請者よりも手続き完了まで長期間を要するケースが多い」というのが実際の現場感覚です。
「外国人が優遇されている」という言説は、支援団体や弁護士が窓口に同行して申請を行うケースが一部で可視化された結果生じた認知の歪みであり、制度上、外国人に有利な特別ルールが存在しているわけではありません。