韓国語の「アンニョン(안녕)」を辞書で引くと、最初に出てくる漢字表記は「安寧」です。日本語でも「社会の安寧を保つ」といった表現で用いられる通り、「無事で平穏であること」「何事もなく安らかであること」を指す言葉に由来します。
かつて疫病や飢饉、戦乱などが頻発した朝鮮半島の歴史的背景において、朝夕に顔を合わせた際「夜の間に何事もなく、無事に過ごせましたか?」とお互いの無事を確認し合った習慣が、現在の挨拶表現へと定着しました。相手の安否を気遣う祈りそのものが、日常の挨拶へと昇華した形です。
英語圏のカジュアルな挨拶「Peace」や、イタリア語で出会いと別れの双方に使われる「Ciao(チャオ)」と同様に、アンニョンには「会えてよかった(無事で何より)」という意味と「元気でね(無事でいてね)」という別れの願いが同居しています。そのため、韓国ドラマの日常会話シーンでも、友達と合流した瞬間に「アンニョン!」と手を振り、別れ際にも背中越しに「アンニョン!」と声をかけ合う光景が自然に描かれています。