諸外国のような強力な包括規制が存在しない日本において、唯一の防波堤となっているのが地方自治体が定める特定犬条例です。全国に先駆けて厳格な運用を行っている茨城県や佐賀県、札幌市などでは、ピットブルや土佐闘犬、秋田犬、ドーベルマンなどを「特定犬」に指定し、以下の飼育ルールを義務付けています。
- 周囲から遮断された頑丈な「檻(おり)」の中での飼育の徹底
- 出入口への「特定犬」標識(ステッカー)の明示義務
- 散歩時の口輪の装着、および制御可能な成人による二重リード保持
しかしながら、こうしたピットブル飼育規制は一部の先進自治体によるローカルルールにすぎず、一歩県境を越えれば何の規制も存在しない「行政の空白地帯」が広がっています。引っ越しによって条例の縛りから逃れるケースや、無登録で地下繁殖を繰り返す悪質ブリーダーの存在を現行法で強制捜査することは極めて困難です。悲劇が起きるたびに全国一律の法規制を求める署名活動が巻き起こるものの、動物愛護管理法における犬種別規制の導入は見送られ続けており、現場の法整備は明らかな停滞を余儀なくされています。