WebやSNS上の短い動画では、大柄な男性がスレッジハンマーを一振りして巨石を粉砕する映像が散見されます。しかし、現場の解体業者に取材を行うと、「あれを一般住宅の庭で真似するのは極めて危険であり、典型的な誤解」と警鐘を鳴らします。
第1の盲点は、石の破片による受傷と物損事故です。打撃による石割りは、超高速の細かい破片(チッピング)が四方八方に飛び散ります。作業者自身の失明事故や皮膚の裂傷はもちろん、隣家のサッシガラスの破損、駐車中の自動車ボディへのキズ付けなど、賠償問題に発展するトラブルが後を絶ちません。
第2の盲点は、「石質(岩種)による硬度の圧倒的な差」です。脆い凝灰岩(大谷石など)であればハンマーとタガネで簡単に欠くことができますが、庭石の定番である「御影石(花崗岩)」や「チャート」「青石(結晶片岩)」はモース硬度が高く、表面を叩くだけでは打撃エネルギーが腕や肩に衝撃波として跳ね返るだけです。その結果、手首の靭帯損傷や肘の炎症を引き起こし、庭石は欠けすらしないまま作業中断に追い込まれるのがオチです。
力学に基づいた「穿孔(穴あけ)+内部加圧」の手順を踏まない破壊行動は、時間と体力を浪費するだけでなく、深刻な事故を招く引き金となります。