田畑麦彦氏との間に誕生した一人娘が、エッセイストとして活躍する杉山桃子氏です。波乱に満ちた母の背中を見つめ続けてきた桃子氏は、愛子氏にとって最大の理解者であり、過酷な執筆生活を精神的に支え続けた存在でした。
桃子氏の結婚・出産を経て、現在は孫の響子氏を含めた三世代の交流が温かく続いています。愛子氏のエッセイには、娘や孫との間で繰り広げられる歯に衣着せぬ軽妙な会話が頻繁に登場し、読者の笑いと共感を誘ってきました。
2016年に刊行された『九十歳。何がめでたい』は、身体の不調や世の不条理を痛快なユーモアで一刀両断し、170万部を突破する社会現象となりました。2026年には草笛光子氏主演で実写映画化され、幅広い世代に「佐藤愛子」という人間の凄みが再認識されました。
2026年を迎えた現在、愛子氏は102歳を超えています。公の場への登壇は控えめながらも、頭脳の明晰さと鋭い観察眼は健在であり、静かに紡ぎ出される言葉の一つひとつが、混迷する時代を生きる人々の道標となっています。