五味太郎の現在と名作の秘密|半世紀愛され続ける理由と子育て論

五味太郎の現在と名作の秘密|半世紀愛され続ける理由と子育て論

五味太郎の現在と名作の秘密|半世紀愛され続ける理由と子育て論に関する深掘り解説を分かりやすく解説いたします。

絵本作家といえば文学部出身や美術大学の日本画・洋画専攻という王道ルートを思い浮かべがちですが、五味太郎の経歴は極めて異端です。1945年8月20日、終戦からわずか5日後の東京都調布市に生まれました。実父は英文学者で法政大学教授を務めた五味保義氏。知的な家庭環境にありながら、本人は制度や規則に激しく反発する少年時代を過ごしました。桐朋中学校時代には自動車にまつわる事件で補導された経験を持つなど、既存のレールに対する違和感を早くから抱いていたことが自著でも語られています。

桐朋高等学校を卒業後、東京藝術大学の受験に失敗した五味氏は、実践的なデザイン教育で知られる「桑沢デザイン研究所」のインダストリアルデザイン(ID)科へ進学。この選択が、後の絵本作家としての運命を決定づけました。卒業後は工業デザインやエディトリアルデザインの現場で、商品の機能性や空間の構成、印刷物のタイポグラフィと徹底的に向き合います。彼が27歳で絵本の世界に足を踏み入れたとき、絵本界に持ち込まれたのは「文学的な抒情詩」ではなく、「機能を研ぎ澄ませたグラフィックデザインの思想」でした。

絵本情報サイト「絵本ナビ」に登録されている関連作品は400件を超え、国内外で発表した著作は450冊以上に達します。サンケイ児童出版文化賞やボローニャ国際絵本原画展賞など国際的な評価も獲得。2026年を迎えた五味太郎の現在においても、アトリエでの創作活動や執筆、メディアでの発信は精力的に続けられています。80歳という節目を迎えながらも、権威に寄り添わず、軽やかな毒舌とユーモアを交えて世相を切り取るスタンスは、デビュー当時からまったく揺らいでいません。

小林 直樹
著者

小林 直樹

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。