「会社の健診結果でクレアチニン1.2、eGFR48と書かれていた。自覚症状が何もないのに『腎機能低下』と判定され、恐怖で夜も眠れない」――大手Web掲示板やSNSでは、健診結果を受け取ったばかりの中高年から切実な声が毎日のように投稿されています。
インターネット上の相談窓口や知恵袋を検証すると、非常に危険な思い込みが散見されます。代表的なものが「腎臓のデトックスのために毎日生野菜スムージーを飲む」「減塩のためにカリウム塩をたっぷり使っている」「腎臓に効くとされる民間療法の健康茶を取り寄せてガブ飲みしている」といった行動です。これらはすべて、弱った腎臓の機能を急激に悪化させ、透析導入への時計の針を自ら進めてしまう致命的な誤謬です。
取材に応じた慢性腎臓病患者の手記には、次のような生々しい証言が記されています。
「ステージ3と診断された当初、何をしていいか分からず、ネットで見かけた『黒豆茶と海藻サラダのデトックス健康法』を数か月続けました。次の定期受診で主治医から『カリウムが6.2まで跳ね上がっている。不整脈で今すぐ倒れてもおかしくない、入院レベルだ』と厳しく叱責され、血の気が引きました。健康に良いとされる食品が、まさか自分を殺しかけていたとは夢にも思わなかった」
日本人が陥りがちな「健康食品信仰」の背景には、「体に良いものをどんどん足していく」という足し算の思考があります。しかし、腎不全治療における真理は正反対の「引き算の管理」です。不要な老廃物を体内に入れない、過剰なミネラルを排除する、そして腎臓に休息を与えるという静的なアプローチを受け入れられるかどうかが、透析を回避できるか否かの分水嶺となります。