新政酒造が展開するプライベートラボシリーズにおいて、陽ノ鳥(新政 貴醸酒)の立ち位置はきわめて特殊です。8代目蔵元・佐藤祐輔氏が主導する「秋田県産米純米造り」「全量生酛(きもと)仕込み」「木桶醸造」「無添加(醸造用乳酸や酵素剤などの不使用)」という極限まで純粋性を突き詰めたフィロソフィーが、この1本に凝縮されています。
日本酒の醸造過程において、通常は仕込み水(水)を投入する最終段階(留仕込み)で、あらかじめ醸造された「清酒」を贅沢に投入して仕込むのが貴醸酒の伝統技法です。仕込み水の一部を酒に置き換えることで酵母のアルコール発酵が適度に抑制され、米本来の糖分が贅沢に残存します。
かつて国税庁醸造試験所が「平安時代の古法(延喜式に記された古代酒「しおり酒」)を現代に再現する」という構想から開発した歴史と経緯を持つ貴醸酒ですが、新政の陽ノ鳥はその重厚な古典的手法を現代的な酸のキレ味と融合させ、完全なるモダンガストロノミーの領域へと昇華させました。