「トンカツをいつでも食えるくらいになりなよ。それが、へっちゃらで食えるようになったら、でかくなった証拠だ」。この言葉が示しているのは、贅沢を極めろということではない。自分の力で自立し、誰の顔色もうかがわず、好きな時にささやかな好物を腹いっぱい食べられる生活を手に入れること――それこそが人が目指すべき真の豊かさなのだという教えである。
SNS時代において、他人の華やかな生活と自分を比較して疲れ果ててしまう若者は多い。タワマンや高級車、ブランド品といった見せかけの成功に振り回されがちな現代において、この「いつでもトンカツが食える身分」という地に足のついた基準は、驚くほど新鮮に響く。質素だが確かな幸福感。それこそが、時代を超えて語り継がれる人生訓の正体だ。