枡席とは、劇場の平土間を木枠や鉄パイプで四角く枡形に区切り、座布団を敷いて観戦する伝統的な客席のことです。その発祥は江戸時代の歌舞伎や芝居小屋にさかのぼります。当時の芝居小屋では、土間に木組みで仕切りを設けて1区画ごとに板敷きにし、家族や仲間内で飲食を共にしながら一日中舞台を楽しんでいました。この歌舞伎座枡席歴史を今に伝える観覧形式が、現在の大相撲の会場に色濃く残されています。
現在の大相撲における標準的な枡席は、1区画の広さが約1.3メートル四方(およそ1.7平方メートル)です。床面には薄手の緑色の座布団が敷かれており、その空間を金属製のパイプが取り囲んでいます。靴を脱いで上がる小上がり構造になっており、仕切りの内側は靴を脱ぐスペースと観戦スペースが直結しています。
気になる定員についてですが、基本形態は「4人枡」です。しかし、近年の大相撲では多様な観戦ニーズに応えるため、バリエーションが急速に広がっています。
- 4人マス(A席・B席・C席):最も標準的な区画。土俵からの距離によって等級が分かれます。
- 2人マス(マス2・特別2人マス):2人分のスペースをゆったり使える席。デートやシニア層に極めて高い人気を誇ります。
- 1人マス(マス1):平日の一部日程や地方場所などで設定される単身観戦用スペース。
チケットは原則として「1区画(1枡)単位」での買い取りとなるため、4人枡のチケットを購入した場合は1枚で4名まで入場できます。ただし、大人4名が隙間なく座ると膝が突き合わさるほどの距離感になるため、快適性を求める観客の間では「あえて4人枡を2〜3名で贅沢に使う」という選択肢も定着しています。