鼻の下にできた赤いしこりをすべて通常のアクネ菌によるニキビと決めつけるのは極めて危険です。ここに発生する炎症性皮膚疾患の代表格として、俗に「めんちょう」と呼ばれる黄色ブドウ球菌の深部毛包炎が存在します。両者は見た目が酷似していますが、発症メカニズムも治療薬も根本から異なります。
進行段階によっても対処法は分岐します。毛穴が角栓で塞がれて皮脂が溜まった初期の「白ニキビ(面皰)」であれば、ピーリング作用のある外用薬や丁寧な洗顔で排出を促せます。しかし、アクネ菌が遊走して赤く腫れ上がる「赤ニキビ」、あるいは黄色ブドウ球菌が侵入した面疔の段階では、刺激を極限まで排除した専門的な抗菌処置が不可欠です。この面疔(めんちょう)との違いを無視してアクネ菌用の市販薬を数週間使い続けると、病巣が真皮深くへと広がり、クレーター状の瘢痕を残す直接的な原因となります。