この印象的なフレーズの成り立ちには、日本語の古語と琉球方言が交差する明確な語源が存在します。「あわてぃーはーてぃー」は、動詞の「慌てる(あわてぃ)」と、「果てる(はーてぃ)」が組み合わさった複合表現です。「果てる」は現代日本語では「命が尽きる」といった重い意味で使われがちですが、古語や方言においては「極限に達する」「すっかり〜してしまう」「途方に暮れる」という強調の接尾語的役割を果たしてきました。つまり、「極限まで慌てふためき、身動きが取れなくなるほど取り乱している」状態を指しています。
言語学者や琉球方言の研究者による分析資料によると、うちなーぐちにおける母音の特徴(「e」が「i」に転化する狭母音化)により、「慌て果て(あわてはて)」が「あわてぃはーてぃ(あわてぃーはーてぃー)」へと音韻変化を遂げました。地域や話者の年代によっては長音を入れずに「あわてぃはーてぃー」や「あわてーはーてー」と発音されるケースもありますが、根底にある語構成は共通しています。
特筆すべきは、同じ意味を重ねてリズムを作る「畳語的リズム」と長音の伸びです。深刻な混乱状態をあえて弾むような音韻で口にすることで、張り詰めた緊張感を一瞬で脱力させる言語的クッションが仕組まれています。