世界のファインジュエリー界において、日本のジュエラーがここまで鮮烈な衝撃を与えた例は他にない。その転換点となったのが、2009年にタクーン・パニクガルがクリエイティブ・ディレクターとして手がけたbalance(バランス)の誕生だ。整然と並ぶ球体を水平のゴールドバーに固定するという、常識破りのミニマリズム。真珠を「守るべき伝統」から「鋭い現代アート」へと再定義した瞬間だった。
続いてプラバル・グルンが吹き込んだのは、食虫植物や野生生物の牙に着想を得たdanger(デインジャー)のエッジィな生命感だ。清楚の代名詞だった真珠からゴールドのトゲが突き出す造形は、既存のエレガンスに対するエレガントな反逆と言っていい。保守的になりがちだったハイジュエリー産業に風穴を開けたこの2大アイコンは、身につける者の内面にある強さと繊細さを同時に物語る。