かつてこの料理の相棒といえば、問答無用で地元・宮崎のドライな本格芋焼酎か、骨太な辛口ラガービールだった。冷涼な焼酎で油分を洗い流し、口内をリセットする。それは確かに完成された様式美だった。
しかし今、そのペアリングマップは劇的に広がっている。強烈なピート香を持つアイラモルトのハイボール、還元香をまとった自然派のシラー、さらには鋭い酸を持つ冷涼産地のオレンジワイン。世界のトップソムリエたちは、炭火焼きの持つ「燻煙(スモーキー)」と「脂の甘味」、そして添えられる青唐辛子と柚子胡椒の「鮮烈な青み」に着目し、世界基準のフードペアリングとして俎上に載せている。伝統的な郷土の調和を抜け出し、異国の発酵酒と交錯することで、肉の持つ立体感が恐ろしいほど際立つのだ。