競技の舞台となるコースは、かつて数々の世界最高記録を生み出してきた伝統の公認コース。福岡市中央区の平和台陸上競技場を発着点とし、福岡市東区の香椎(かしい)折り返し点を結ぶ42.195kmのレイアウトです。
全体を通じて極めて平坦であり、高低差はわずか数メートル程度。アップダウンによる脚への負荷が極めて少ないため、選手が一定のラップタイム刻みに集中できる屈指の高速レイアウトとして知られています。しかし、このコースには記録を阻む「特有の自然トラップ」が存在します。
博多湾沿いを北上して香椎へと向かう往路、そして再び天神・平和台へと戻る復路では、海風の直撃を受けやすくなります。特に12月初旬の福岡は冬型の気圧配置が強まる時期であり、折り返し地点を過ぎた後半30km以降、玄界灘からの冷たい北西の季節風が真正面から吹き付けるケースが珍しくありません。集団走による風避けの戦略、そして単独走になった際の風との付き合い方が、勝敗を分ける決定打となります。
また、福岡市のメインストリートである明治通りや国道3号線を広範囲にわたって長時間封鎖するため、大会当日は大規模な交通規制情報が敷かれます。福岡都市高速のランプ規制や西鉄バスの運休・迂回運行が綿密に管理され、都市機能を一部麻痺させてでも「世界の最前線」を走らせる街全体の協力体制が、現在も脈々と受け継がれています。