店頭で並ぶパック詰めの桃から最高糖度の1玉を瞬時に見抜く最大の鍵は、果皮に現れる微細なサインにあります。果樹園の生産現場で「これぞ極上品」と珍重される個体には、共通して果点(かてん)と呼ばれる白い星のような斑点が無数に浮き出ています。
果点とは、果実が太陽光を十分に浴びて細胞内にデンプンや糖分を急激に蓄積し、果肉がパンパンに肥大化した結果、果皮の気孔が押し広げられてコルク化した痕跡です。つまり果点が鮮明に散らばっている桃は、光合成による糖の蓄積が限界まで達した科学的証拠にほかなりません。
もうひとつの決定打が、軸の周囲や果実下部に見える「地色(じいろ)」の観察です。多くの消費者が赤い着色面積ばかりに気を取られますが、着色成分のアントシアニンは単に直射日光が当たっただけで生成されます。本当の熟度を示すのは赤くない部分のベースカラーです。
熟度の低い桃の地色は青みがかった緑色を帯びていますが、樹上で完熟に向かうにつれて葉緑素が分解され、透明感のある乳白色から温かみのあるクリーム色へと移行します。お尻のくぼみ周辺に緑っぽさが一切残っておらず、黄色みを帯びた白に抜けている個体こそが、まさに今食べるべき完熟サインを放っています。