現在のように緻密な快楽描写として定着するまでには、長い歴史的変遷がありました。エロ漫画フェチ表現の経緯を辿ると、1980年代から90年代にかけての成人誌では、女性キャラクターの身体の美しさや柔らかさを強調する曲線美が主流でした。
転機となったのは2000年代初頭の同人サークルによる実験的描写です。当時、格闘ゲームのやられモーションやコメディ漫画の誇張表現を成人向け作品に逆輸入する作家が現れ始めました。これがエロ漫画ガニ股ポーズの元ネタの源流とされています。当初は「ギャグ混じりの敗北シーン」や「品性を疑われるような下品なシチュエーション」として描かれていたものが、徐々に「抗えない激痛と快感の混濁」を表現するシリアスな記号へと昇華していきました。
2010年代半ばには、いわゆる「メスガキ」や「分からせ」ジャンルが隆盛を極めます。尊大だったキャラクターが完膚なきまでに調教され、最後に晒す無力な姿としてガニ股が最適解とみなされた結果、商業青年誌や電子単行本でも頻繁に採用される王道技法へと定着しました。