就職活動や昇進試験の現場でも、見えない「踏み絵」が常態化している。面接においてAIが志願者の表情や発声を解析し、特定の価値観に対する偏りを判定する選考アルゴリズムが広がっているのだ。
ある大手人材サービス会社が提供する適性検査では、提示された社会問題に関する質問に対するコンマ数秒の返答の遅れから、「潜在的リスク思考」を算出する。志願者がどれほど論理的に答えても、AIは「心の中の躊躇」を見逃さない。
「これは現代の思想調査に他ならない」と労働法に詳しい弁護士は指摘する。企業側は「適性の見極め」を主張するが、個人の信条や良心に基づく迷い、あるいは特定の思想に対する心理的距離が「不適合」というラベルで排除される構造は、憲法が禁じた内心への踏み込みに等しい。