新井氏の手によって誕生した楽曲が国民的ヒットへと駆け上がった最大の契機は、クラシック界の実力派テノール歌手・秋川雅史さんによるカバーでした。
2006年に秋川さんがカバーシングルをリリースし、同年の『第57回NHK紅白歌合戦』に初出場を果たします。秋川さんの凛とした佇まいと、ホールを震わせる圧倒的なベルカント唱法で披露された『千の風になって』は、視聴者の心を瞬く間に鷲掴みにしました。放送直後からCDショップへの問い合わせが殺到し、年明けのオリコン週間シングルチャートでクラシック歌手として史上初となる1位を獲得。ミリオンセラーを達成する歴史的快挙を成し遂げました。
この大ヒット以降、木村好夫氏をはじめとするインストゥルメンタルや、合唱曲、学校の音楽教材、吹奏楽など幅広い楽譜・コード譜が出版され、現在に至るまで定番曲として定着しています。クラシックと歌謡曲の垣根を越え、老若男女が口ずさめる親しみやすいメロディラインが、楽曲の生命力をより確固たるものにしました。