事故報道の直後、SNSや一部のネット掲示板では「最新の安全ブレーキが付いているはずなのに、なぜ止まれなかったのか」「自動運転技術があれば防げたのではないか」といった疑問や誤解が多く見受けられました。
しかし、最新鋭の商用車に搭載されている衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)は、あらゆる条件下で完全停止を保証するものではありません。国土交通省の技術指針および自動車メーカーの仕様解説によると、以下のような物理的・環境的制約が存在します。
第一に、歩行者の急な飛び出しやミリ波レーダーの検知死角に入る鋭角な割り込み、豪雨や逆光などの視界不良時にはセンサーの認識精度が低下します。第二に、積載重量が重い大型バスの場合、急制動をかけることで車内の立席乗客が前方へ投げ出される「二次災害」を回避するため、減速プログラミングが乗用車よりも緩やかに設定されているケースがあります。
「ハイテク安全装置=100%事故防止」という過信は禁物であり、最終的な安全確保はドライバーの健康状態、適切な車間距離、そして過密な運行シフトを排除する組織マネジメントに依存しているのが実情です。